忍者ブログ
「 140文字の物語 」
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

君はいたずらっ子だ。
今度はどんないたずらを思いついたのだろう。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の両手のひらに指を絡める。
「ずっと、一緒のおまじない」と僕の耳元で囁いた。
これがいたずらだったら悲しいから、僕は静かに頷いた。
「期限は二人を死を分かるまで」結婚式のように言う。
PR
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは前へ進むための嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と君を傷つける嘘をついた。
だってもう、仕方がないだろう?
キッパリと言わなければ、君はいつまでも僕についてくるだろう。
これから先は修羅の道だとしても、僕の後ろを歩いていくだろう?
砂糖を煮詰めた甘さの君に呆れていた。
君は何も知らず、日々を過ごしている。
苦しみも、悲しみも知らずに生きている。
そんな甘さに、僕は胸やけを起こしそうになる。
君はそのまま砂糖を煮詰めて、キャラメルになるといい。
少しは人生の悲哀を知るといい。
僕だけ味わっているのは納得できない。
真夜中の逢瀬だった。
星空が輝く中、言葉もなく逢引きをした。
君の瞳は狩られる子兎のように震えていた。
だから、僕は恐る恐る、君と指を触れ合わせる。
微かに震えているのが伝わってきて、哀しかった。
僕は君を驚かせないように静かに抱きしめた。
真夜中に温もりを分かち合う。冬が来る前に。
青年の視力が奪われたように、目の前に暗闇が広がった。
厄介な術を持った同胞もいたものだ、と青年は思った。
神剣・神楽をやみこみに振るっていても意味はない。
五感を研ぎ澄まして、同胞の位置を探る。
仮初の夜は明ける。
青年は一薙ぎをする。
すると同胞は逃げ出しして、討ち取れなかった。
僕は夕方の教室で学級日誌を書いていた。
その横で君は日直でもないのに、終わるのを待っていた。
今日も、明日も、一緒に帰れる、と思ったら自然に顔が緩んだ。
「終わった?」君が尋ねる。
「うん、終わった」と僕はシャーペンをしまった。
君は満面の笑みを浮かべながら、僕の手のひらに触れる。
『博士のルール』

どこの大学でもそうだろう。
博士号を取ったからといって、すぐさま教授になれるわけではない。
最初は助手として安月給でこき使われつつ、生徒の論文を読みながら、自分の研究の成果を出す。
そんなわけで博士は金持ちしかなってはいけない。
給料で食べていけないからだ。
幼馴染が堂々と、僕の指先を指先でつつく。
いつもの悪ふざけだ。
こんなことをしているから、補習を受ける羽目になる。
僕は無視して、宿題を続ける。
すると、またトントンと幼馴染が指先をつつく。
僕は勉強するのを諦めた。
「何の用?」できるだけ冷たい声で尋ねた。
幼馴染の顔がパッと輝く。
「ご飯はどうしますか?」と少女が尋ねた。
青年は「適当でいい」と答えた。
「食べたい物はありますか?」なおも少女が問う。
「適当でいい」と青年はくりかえし、家を出た。
食べられるものであればそれでいい。
青年はそう思っていた。
帰ってくると、テーブルには青年の好物ばかりが並んでいた。
その革靴はいい加減疲れていた。
新しい革靴を買うべきだろう。
それは僕にも分かっていたけれども、乗り気にならなかった。
君が最後にプレゼントしてくれたものだからだ。
ハートマークのメッセージカードは『これからも頑張ってね』と書かれた君の文字はお守りだ。
くたびれた革靴を抱きしめる。
君は顔色が悪いことを気にしていた。
だから、僕は君の誕生日に深紅のルージュを贈った。
それに君は飛び切り喜んでくれた。
二人で外出する時、必ず深紅のルージュを唇に乗せるほどに。
けれども歳月というのは残酷だった。
君は無垢な赤子のように、無邪気に記憶を忘却していった。
僕は心で泣く。
仲秋だというのに扇風機が回っている。
部屋の中は蒸し暑く、隣で眠る君の体温は熱い。
君があまりにも静かに眠るのだから、僕は不安になる。
無理矢理、投げ出された両手に触れる。
僕よりも熱のこもった両手から、離れる。
そして、蹴飛ばされた毛布を君にかける。
まだ朝には早い。君よ良い夢を。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

僕は、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をついた。
それは現実逃避のため嘘だった。
逃げ場所を探して、君の懐に忍びこんだ。
これで最後の嘘にするから、と自分自身に言い訳をして。
「絶対にあきらめたりはしないよ」と僕は明るい口調で言った。
嘘だと言えたら、どんなに素直に泣けるのだろう。
昨日まで遅刻ギリギリだった寝坊の代名詞の君が、起きていた。
迎えに来た僕は、そのことにビックリした。
朝食もすでにすましているらしい。
「この子ったら朝日と同じぐらいに起きたのよ」と小母さんが言った。
「これからは早寝早起きなんだから」と君は笑った。
女の子が好きな占いだろうか。
「桜が散っちゃったら悲しいから、散らない桜を作って」と君が言った。
言われて僕は悩む。
桜は散るからこそ、美しい。
そこには慈愛も、慈悲もなく、ただの事実があるだけだ。
それを君にどう伝えたらいいのか、それが難しかった。
せっかく日本には四季がある。
それを堪能するために桜は散る。
PREV ← HOME → NEXT
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH